ピロリ菌とは
ピロリ菌とは胃の粘膜に生息する細菌のことで、正式には「ヘリコバクターピロリ」と言います。ピロリ菌に一度感染すると、除菌治療を行わない限り、胃の中に生息し続け、基本的には消滅することはありません。ピロリ菌が生息していても症状が出ない場合も多々あり、検査するまで感染していたことに気付かなかったという人も多いです。しかしながら、ピロリ菌に感染すると、胃がんや胃潰瘍にかかるリスクが高くなりますので、検査でピロリ菌感染を確認した際には速やかに除菌治療を行うようにしましょう。
原因
はっきりとした原因は分かっていませんが、免疫力の低い幼少期の感染が多いと言われており、特に衛生状態の良くない環境における経口感染が多いです。母親からこどもへの口移し等による家庭内での感染が最も多いと言われております。
上下水道の完備された現代の日本において、ピロリ菌の感染者は減少傾向にあります。
ピロリ菌の感染を予防する方法は解明されていませんが「除菌治療」はできます。
ご自身が感染していた場合は、治療方法について医師と相談して回復に努めることを推奨いたします。
このような方はピロリ菌検査を!
- 空腹時や食事中に胃が痛む
- 胸焼けや胃もたれが起こる
- 食欲不振
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことある
- 胃炎と診断されたことがある
- ご家族で胃がんを発症された方がいる
- 親御さんやご兄弟がピロリ菌陽性だった
上記のような症状に当てはまる方は、ピロリ菌に感染している可能性があります。
一度検査をしていただくことをおすすめします。
ピロリ菌検査方法
内視鏡検査を使用する方法
ピロリ菌に感染していることがわかったら
当院では内服薬によりピロリ菌除菌治療を行うことができます。
一次除菌では、2種類の抗菌薬(ペニシリンとクラリスロマイシン)と胃酸の分泌を抑制する薬の計3種類を1日2回、連続して7日間内服していただきます。一次除菌での成功率は80〜90%と言われています。除菌治療中の7日間は禁酒をおすすめいたします。
一次除菌が成功しなかった方は、二次除菌治療に進んでいただきます。
二次除菌では、ペニシリン・メトロニダゾール・胃酸分泌抑制薬の計3種類を1日2回、連続して7日間内服していただきます。除菌成功率は90%前後です。治療中の7日間と内服終了後2日間は禁酒が必要です。
また二次除菌に失敗した方の三次除菌、四次除菌は自費での診療となりますので、予めご了承ください。治療費用としては、医師面談・処方箋料・成否判定検査など含めて2万円程度、薬剤費が1〜1万5千円程度となります。また、大学病院の専門外来へ紹介も可能です。なお薬剤アレルギー、ペニシリンアレルギーは、保険診療可能な場合と自費診療になる場合がありますので医師にご相談ください。
二次除菌に失敗した方で、なおかつペニシリンアレルギーの方は、ピロリ菌検査や除菌治療の情報(検査結果のコピーや紹介状)と一緒に保険証やお薬手帳、最新の胃カメラ検査結果、健診結果などもできるだけお持ちください。
注意:6ヶ月以内に胃カメラ検査を受けていない方のピロリ菌検査および除菌治療は、原則保険対象にはなりませんのでご注意ください。
著者
院長 水野 滋章
学歴・職歴
- 日本大学医学部卒業
- 日本大学医学部 第三内科(現消化器肝臓内科)
- 日本大学大学院医学研究科内科学卒業 医学博士
- 東京都保険医療公社 東部地域病院 内科医員
- アメリカ国立衛生研究所(NIH)/国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK) 研究員
- 春日部市立病院 内科医長・内視鏡室室長
- 日本大学医学部総合健診センター 内科医員
- 日本大学医学部附属板橋病院 消化器肝臓内科科長、内視鏡室室長
- 日本大学医学部 内科学講座消化器肝臓内科学分野 准教授
- 日本大学医学部兼任講師
- その他 非常勤:池上総合病院、聖路加国際病院予防医療センター、一部上場企業の健康管理センター、水野医院(武蔵村山市)、他
学会関連
- 日本内科学会 認定医
- 日本内科学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器病学会 認定専門医
- 日本消化器病学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器内視鏡学会 専門医
- 日本消化器内視鏡学会 指導医
- 日本消化器がん検診学会 認定専門医
- 日本消化管学会 胃腸科認定医
- 日本消化管学会 専門医
- 日本消化管学会 指導医
- 日本がん治療認定医
- 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
- 日本カプセル内視鏡学会 専門医
- 日本カプセル内視鏡学会 指導医
- 日本医師会 認定産業医
- 東京都認知症かかりつけ医研修修了
- 日本消化器内視鏡学会 評議員、関東地方会評議員
- 日本消化器病学会 学術評議員、関東地方会評議員
- 日本消化管学会代議員、専門医制度審議委員会委員
大学勤務時代の
主な専門・研究分野
- 消化管および胆膵の内視鏡診断・治療
- 消化性潰瘍、消化管出血、薬剤性消化管傷害
- Helicobacter pylori菌感染症