潰瘍性大腸炎疑いの方へ
潰瘍性大腸炎が疑われる場合には、次の検査を行う場合が多いです。
直腸肛門の診察
肛門から器具を挿入して直腸下部の粘膜、便の性状などを観察します。
潰瘍性大腸炎では直腸に炎症・びらん・潰瘍があることが大部分ですので、病気の診断に有用です。
便検査
一部の細菌性腸炎は、潰瘍性大腸炎と似た症状や大腸の炎症・潰瘍をおこすことがあります。便の細菌検査も行なって区別します。
潰瘍性大腸炎の炎症の程度を便中のカルプロテクチンという検査で推定できるので、経過観察に用いることがあります。
腹部レントゲン検査
腸のガスや便の様子を比較的簡単に把握できます。放射線を使用するため妊娠中の方は避けていただきます。
血液検査
血液を採取し、貧血や炎症反応などを調べます。
潰瘍性大腸炎の炎症の程度を血中のロイシンリッチグリコプロテインという検査で推定できるので、経過観察に用いることがあります。
CTまたはエコー(超音波)検査
激しい症状の場合、大腸のむくみや拡張、内容物の状態や周辺の臓器の状態をCT検査などで確認することがあります。放射線を使用するため妊娠中の方は避けていただきます。
エコーは腹部にプローブを当てて検査をします。腸管周囲の肝臓や胆嚢などを調べることができます。
治療方法
原因不明で指定難病である潰瘍性大腸炎は、根本的な治療方法も分かっていないのが現状です。治療の目標の第一段階は、下痢、血便、腹痛などの症状の改善、第二段階は大腸内視鏡での粘膜治癒、さらに粘膜組織での炎症の消失を目指します。
炎症、過剰な免疫反応を抑える薬物療法による治療が一般的で、基本的治療薬の5ASA製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダなど)の内服、注腸、坐剤を処方します。症状が中等度以上や5ASAでも改善がみられない場合には、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤、血球除去療法などがあります。
潰瘍性大腸炎の状態には、症状が強く現れる「活動期」、病状が落ちついては症状が出ない「寛解期」の2つに分けられます。治療の効果により、症状が緩和され寛解期に入っても、大腸の炎症が持続していたり、再燃の危険があったりする場合がありますので、根気よく治療を継続することが大事です。数年以上にわたり炎症が続くと大腸がんの発生リスクも高まります。症状が落ち着いていても1-2年に1回程度の大腸カメラでの経過観察をおすすめします。
まずは当院へ
水野胃腸クリニックでは上記の疾患・症状を診察、大腸カメラを含む検査、治療をおこなっております。医師やスタッフが親身に対応させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
急な再燃、中等度以上であれば適切な病院を紹介いたします。
著者
院長 水野 滋章
学歴・職歴
- 日本大学医学部卒業
- 日本大学医学部 第三内科(現消化器肝臓内科)
- 日本大学大学院医学研究科内科学卒業 医学博士
- 東京都保険医療公社 東部地域病院 内科医員
- アメリカ国立衛生研究所(NIH)/国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK) 研究員
- 春日部市立病院 内科医長・内視鏡室室長
- 日本大学医学部総合健診センター 内科医員
- 日本大学医学部附属板橋病院 消化器肝臓内科科長、内視鏡室室長
- 日本大学医学部 内科学講座消化器肝臓内科学分野 准教授
- 日本大学医学部兼任講師
- その他 非常勤:池上総合病院、聖路加国際病院予防医療センター、一部上場企業の健康管理センター、水野医院(武蔵村山市)、他
学会関連
- 日本内科学会 認定医
- 日本内科学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器病学会 認定専門医
- 日本消化器病学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器内視鏡学会 専門医
- 日本消化器内視鏡学会 指導医
- 日本消化器がん検診学会 認定専門医
- 日本消化管学会 胃腸科認定医
- 日本消化管学会 専門医
- 日本消化管学会 指導医
- 日本がん治療認定医
- 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
- 日本カプセル内視鏡学会 専門医
- 日本カプセル内視鏡学会 指導医
- 日本医師会 認定産業医
- 東京都認知症かかりつけ医研修修了
- 日本消化器内視鏡学会 評議員、関東地方会評議員
- 日本消化器病学会 学術評議員、関東地方会評議員
- 日本消化管学会代議員、専門医制度審議委員会委員
大学勤務時代の
主な専門・研究分野
- 消化管および胆膵の内視鏡診断・治療
- 消化性潰瘍、消化管出血、薬剤性消化管傷害
- Helicobacter pylori菌感染症