みなさん、検診異常を放置していませんか?
地域で行われている胃がん検診や大腸がん検診は、市町村などの自治体が主導で実施している検診です。これらの検診は、がんの早期発見・早期治療を目的としており、定期的に受診することが推奨されています。対象となる方は、自治体から送付される案内を確認し適切な医療機関を受診しましょう。
また、検診異常となった場合には早急に二次検査(精密検査)を受けることをおすすめいたします。
また、職場や人間ドックでは、胃がん検診または胃がんのリスク検診として胃のバリウム、ピロリ菌、ABC検診、ペプシノーゲン法が、大腸がん検診としては自治体と同様に便潜血検査がおこなわれています。
一部の自治体では胃がん内視鏡検診が行われていますが、東久留米市では導入されておりません。
一次検診と二次検診とは
がん検診は、通常、一次検診(スクリーニング検査)と二次検診(精密検査)の2段階で行われます。
- 一次検診:がんの可能性を見つけるための初期検査で、比較的簡便かつ低侵襲な検査方法が用いられます。一次検査で異常が発見された場合、さらに詳細な検査(精密検査)に進みます。
- 二次検診:一次検診で異常が見つかった場合に行われる、より詳細で正確な検査です。がんの確定診断や治療方針の決定のために必要な情報を得るために行われます。
胃がん検診の一次検査
胃のX線(バリウム検査、レントゲン)
バリウム検査は、胃がん検診の一次検査として一般的に行われる方法です。バリウムという造影剤を飲み、その後X線撮影を行います。胃を中心に十二指腸、食道を検査します
バス検診車によるバリウム検査の場合には、食道については検査していない場合がありますので、食道癌がご心配な方には注意が必要です。
注意)レントゲン検査で要精査になった場合には、胃カメラ検査がすすめられます。受診時は検診結果を持参ください。できれば検診検査医療機関に申し出て、実際のレントゲンの画像CD-R(500円から1000円程度有料になる場合もあります)もご持参いただくとなおよろしいです。
胃カメラ検査
一部の自治体や人間ドックで行われています。胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査では、食道、胃、十二指腸の内腔を観察します。
必要に応じて生検(組織検査)を行うことがあります。
東久留米市ではまだ胃がん内視鏡検診は行われていません。
その他検査
胃がんリスク検診:ABC検診、ペプシノーゲン(PG)法、ピロリ菌
血液でのピロリ菌検査とペプシノーゲンPG(胃粘膜の萎縮を血液で推定する)という物質を測定して胃がんのリスクを判定します。
A、B、C群に分けられ、Aはピロリ陰性PG陰性で問題なし、BやCであった場合には胃カメラ検査が推奨されます。またD群というグループ分けをすることもあり、この場合ピロリ菌陰性 PG陽性者が当てはまり、胃がんの高リスクである場合があるのでやはり胃カメラ検査が推奨されます。
PG法(血液検査)のみ行われる場合もあり、陽性の場合は胃粘膜萎縮が疑われ、胃カメラ、ピロリ菌検査が推奨されます。
ピロリ菌のみ行われる場合もあり、陽性の場合は胃がんリスクがありますので、、胃カメラが推奨されます。 血清抗体の数値が重要ですので記載されていなければ問い合わせて下さい。
以前にピロリ菌除菌した方に関しては、胃がんリスク検診は原則推奨されていません。その判定意義については、専門医の解釈が必要になります。ただし、以前ピロリを除菌した方は、そのまま感染しているよりも確率は低下しますが、胃がんのリスクがありますので、定期的な胃カメラ検査をおすすめします。
注意)検診(健診)結果のプリントなどお持ちください。ピロリ菌検査については、血清抗体の数値が記載されているかご確認下さい。数値も重要ですので記載されていなければ問い合わせて下さい。
胃がん検診の二次検診(精密検査)
ピロリ菌検査(採血や便、呼気試験など)
ピロリ菌感染疑われた場合は、血液、便または、呼気試験などで検査します。慢性的な胃炎や胃がんのリスクを高めるため、感染が確認された場合には適切な治療が必要です。あらかじめピロリ菌検査をお受けになった方は、検査結果をご持参ください。
大腸がん検診の一次検査
便潜血検査(検便)
大腸がん検診の一次検査としては、便潜血検査(検便)2日法が一般的です。これは、便に微量の血液が混じっていないかを調べる簡便な検査です。便潜血検査で2回のうち1回でも陽性反応が出た場合、精密検査が必要となります。
大腸がん検診の二次検査(精密検査)
大腸カメラ検査
一次検査で異常が見つかった場合、大腸がんの二次検査として大腸内視鏡検査が推奨されます。内視鏡を使用して直接大腸の内壁を観察し、ポリープやがんの疑いがある部位の組織を採取(生検)して詳しく調べます。
これにより、がんの有無やその進行度を正確に診断します。また、条件によりますが、ポリープ切除も検査日に同時に切除が行えます。
その他の検査
何らかの理由で大腸カメラを受けられない場合には、大腸CT(下剤服用は必要、当院から画像診断センターへ依頼)があります。
便潜血陽性の場合に、再度の便潜血検査で二次検診をすることは、ガイドラインでもやらないように記載されております。
検診異常となった方は、必ず二次検診を受けましょう
一次検査で異常が見つかった場合は、必ず二次検査を受けましょう。二次検査を受けることで、がんの早期発見と適切な治療が可能になります。早期に発見されたがんは、治療の成功率が高く、患者さんの負担も軽減されます。
検診異常を軽視せず、適切な精密検査・治療を行いましょう。