腹痛について
腹痛とは、一般的に「お腹が痛む」ことの総称を指し、誰しも一度は経験したことのある症状ではないでしょうか。
ただし、腹痛と一口に言っても、痛みの程度や痛む場所、併発症状によって、原因や考えられる疾患は様々です。よくある症状として捉えられることの多い腹痛ですが、その症状によっては、重篤な疾患に罹患している可能性もあります。特に注意が必要な腹痛は次の通りです。
注意が必要な腹痛とは?
緊急性の高いもの
- 歩行が困難なほどの痛みがある
- 背中を丸めないと耐えられない痛みがある
- 吐血がある
- 真っ黒くてべたっとしたタール状の便が出た
- 便に血液が混じっている
これらの症状がある場合には直ちに医療機関を受診し、医師に診てもらう必要があります。状況に応じて、救急車を呼んでも構わないほどの症状です。
とても強い腹痛、吐血、タール便、多量の血便では、救急隊を要請してください。
上記以外で早期に医療機関への
受診が必要なもの
- 嘔吐や下痢で苦しんでいる
- 高熱がある
- 血便・下血症状がある
- 黄疸、尿が赤茶色
- 血尿がある
- 背部痛
腹痛に伴ってこれらの症状が併発している場合は、早期に医療機関を受診しましょう。可能であれば当日中の受診を推奨いたします。
少し様子を見ても大丈夫である
可能性の高い症状
- 気づくと消えている痛み
- 痛みの場所が特定できないもの
- 体重が減少している
これらの症状の場合は、比較的時間を置いても大丈夫な可能性が高いです。ただし放置することは危険ですので、医療機関を受診しましょう。
腹痛の種類
腹痛には「内臓痛」「体性痛」「関連痛」の3種類に区分されます。
内臓痛
胃や腸などの急激な拡張や収縮により発症する痛みです。お腹の痛みは何となくで、痛みの場所がはっきりしないことも特徴です。
体性痛
知覚神経が刺激されて発症する腹痛のため、突き刺すような鋭い痛みを引き起こし、痛みの場所もはっきりとしています。
関連痛
神経で繋がっている皮膚などの表面から痛みを感じます。実際に病変がある場所とは異なる箇所が原因で腹痛が発症している可能性が高いです。お腹の表面が痛いと感じることが多いと言われております。
関連する疾患
急性の腹痛
- 胃炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- アニサキス
- 虫垂炎(盲腸)
- 腸炎
- 胆のう炎
- 胆石
- 急性膵炎
- 大腸憩室炎
- 狭心症
- 腸閉塞
慢性の腹痛
- 胃がん
- 食道がん
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 慢性膵炎
- クローン病
- 潰瘍性大腸炎
腹痛の検査方法
上述したように、腹痛は放置すると重篤な疾患に罹患している場合もあります。ご自身で判断せず、専門の医師による適切な診察および検査を受けていただくことをおすすめします。
水野胃腸クリニックでは腹痛でお困りの方に対して、次の検査を行っております。
胃カメラ検査
口や鼻からスコープを挿入し、胃の中を観察し病変や異常の有無を調べる検査です。
大腸カメラ検査
肛門からスコープを挿入し、腸内部を直接観察し病変や異常の有無を調べる検査です。
エコー検査
腹部に超音波をあてて、内部を観察します。胃カメラや大腸カメラでは見ることのできない肝臓や膵臓、胆のうなどの臓器を観察することができます。
CT検査・MRI検査
CT検査とはX線を使って人体の輪切り画像を構成する検査方法です。そのため妊娠中の方は受けることができません。至急での検査も可能です。
MRI検査は、強力な磁気を使って人体の断面画像を構成する検査方法で、CT検査と異なりX線を使わないため放射線被曝がありません。
※CT検査とMRI検査は連携医療機関にて実施可能です。
尿・血液検査
病状により、尿検査・血液検査での炎症反応、貧血、黄疸、肝機能、腎機能、膵酵素、脂質、電解質、血糖の検査などを行います。
受診の際のチェックポイント
医療機関に受診する際には次のポイントに従って医師にお伝えいただけると、問診や症状の特定がスムーズになり、適切な処置や治療を行いやすくなります。
- 痛みはいつからか?
- 痛みが始まった時の状況(食事や運動で心当たりはあるか等)
- 痛む場所
上腹部、下腹部、脇腹、みぞおち、へその上等、できるだけ詳しく教えていただけると特定がしやすくなります。
- 痛みの種類
ズキズキ、チクチク等、どのような腹痛なのか具体的に教えてください。
- 急性的な痛みか慢性的な痛みか
- 痛みの頻度
常に、食前、食後、就寝前等、いつ痛みが発生するのか教えてください。
- 腹痛以外の症状の有無
- 服用しているお薬
- 排便状態
- 妊娠の可能性の有無
腹痛でお悩みの方は
当院の
消化器専門外来へ
お越しください
著者
院長 水野 滋章
学歴・職歴
- 日本大学医学部卒業
- 日本大学医学部 第三内科(現消化器肝臓内科)
- 日本大学大学院医学研究科内科学卒業 医学博士
- 東京都保険医療公社 東部地域病院 内科医員
- アメリカ国立衛生研究所(NIH)/国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK) 研究員
- 春日部市立病院 内科医長・内視鏡室室長
- 日本大学医学部総合健診センター 内科医員
- 日本大学医学部附属板橋病院 消化器肝臓内科科長、内視鏡室室長
- 日本大学医学部 内科学講座消化器肝臓内科学分野 准教授
- 日本大学医学部兼任講師
- その他 非常勤:池上総合病院、聖路加国際病院予防医療センター、一部上場企業の健康管理センター、水野医院(武蔵村山市)、他
学会関連
- 日本内科学会 認定医
- 日本内科学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器病学会 認定専門医
- 日本消化器病学会 指導医(大学退職まで)
- 日本消化器内視鏡学会 専門医
- 日本消化器内視鏡学会 指導医
- 日本消化器がん検診学会 認定専門医
- 日本消化管学会 胃腸科認定医
- 日本消化管学会 専門医
- 日本消化管学会 指導医
- 日本がん治療認定医
- 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
- 日本カプセル内視鏡学会 専門医
- 日本カプセル内視鏡学会 指導医
- 日本医師会 認定産業医
- 東京都認知症かかりつけ医研修修了
- 日本消化器内視鏡学会 評議員、関東地方会評議員
- 日本消化器病学会 学術評議員、関東地方会評議員
- 日本消化管学会代議員、専門医制度審議委員会委員
大学勤務時代の
主な専門・研究分野
- 消化管および胆膵の内視鏡診断・治療
- 消化性潰瘍、消化管出血、薬剤性消化管傷害
- Helicobacter pylori菌感染症